『異話・魔術師事変 完全版』
(※以下は隣世の片隅に開いた、赤い『窓』の彼方にある、もう一つの現世の歴史。
現地の魔術師が記した、『平行世界』の物語――)
○ナハトブーフが『境界の壁』を破壊した事により、窓が頻繁に開くようになる。
世界中で魔術師が増加し、同時に各トライブの抗争が激化し始める。
○世界中に飛び散ったはずの境界の魔女の遺物『七つの断章』が、東京周辺で次々に見つかる。
これを巡って、各トライブの抗争がさらに過熱する。
〇宇和島空ら境界の魔女の弟子6名、ナハトブーフと交戦。
ナハトブーフを討つことに成功するも、固有魔法によって逃げられる。
以降空たちは、何度も蘇るナハトブーフを完全に倒し切るまで、交戦を繰り返す。
○高天原祈、シュバルツイェーガーとの抗争の中で死亡。
遺物『祈の薔薇』となる。
〇エスティ・ラプラス、ニナ・ファウストと交戦し、死亡。
遺物『ラプラスのPDA』となる。
〇レビ・マクスウェル、自身にかけられた魔力制御術式を解く事をウィザーズインク上層部に請願。
CEOにより承認され、制御術式が全て解放される。
同時にマクスウェル、全ての魔術師を遺物化し、その魔力により世界の時間を巻き戻すことを決意。
ラプラスを蘇らせる為なら、いかなる罪も背負う覚悟を決め、自ら『悪魔』を名乗るようになる。
〇ニナ・ファウスト、レビ・マクスウェルと交戦し、死亡。
遺物『魔女の短剣』となる。
〇高天原衛示、祈の遺物を取り戻す為、フリッツ・メフィストと交戦・死亡。
遺物『衛示の輝石』となる。
〇レビ・マクスウェル、フリッツ・メフィストと交戦。
激戦となるも、勝負つかず。
〇鷹野春道・幅浜寧々里・竜崎圭・支倉響香、フリッツ・メフィストと交戦。
響香と竜崎、共に死亡。遺物『ウィズクラスの鍵』『竜剄』となる。
〇フリッツ・メフィスト、ナハトブーフと交戦。
討伐には至らずとも、ナハトブーフの体内から遺物数点を摘出。
条件を揃える事であらゆる魔法を封じる希少遺物『解呪の秘石』を入手する。
〇宇和島空ら6名、ナハトブーフと交戦(6回目)。
藍川雅と黄桜阿廉が死亡。遺物『雅の籠手』『阿廉の散弾銃』となる。
2人の犠牲と引き換えに、残る4名が第二覚醒。ナハトブーフ討伐に成功する。
また自分たちが集めていた境界の魔女リンの遺物『七つの断章』2つと、
ナハトブーフが所有していた断章5つが集まり、リンの遺物が完成する。
〇だがその直後、レビ・マクスウェルが宇和島空らを襲撃。
紅沢駆馬、他の3人を庇って死亡。遺物『駆馬の数珠』となる。
とっさに空は『七つの断章』を使い、マクスウェルを撃退する。
〇トリスタニア・アルブス、3トライブの和平が絶望的である事を確信。
隣神を倒すためのもう一つの道、『闘争の果てに生まれる最強魔術師』を作り出す事を選ぶ。
〇トリスタニア・アルブス、他の調停者らとともに、抗争の生存者たちに宣戦布告。
調停者の最後の使命として、無差別交戦を開始する。
またトリスタニア自身も、平和的な女性人格『アルブス』から攻撃的な男性人格『アーテル』に変化し、
戦闘に参加する。
〇トリスタニアの協力者の任を解かれた明日見秀、ウィズクラスに帰還。
鷹野春道・幅浜寧々里と再会し、さらに宇和島空・白城真琴・黒染美丹とも接触する。
互いに情報交換し、状況を確認。共闘体制を結ぶ。
〇フリオ・バンディーニ、ウィズクラス+晴嵐高校勢と交戦。
急な心変わりを訝しんだ空が、闘いの中でフリオに理由を問うと、
別の世界に棲む魔術師『降魔』の存在が伝えられる。
その後、フリオは6人を叩きのめすも、不殺の戒めにより止めは刺せず。
自身の変えられない性分から、この抗争を最後まで見届ける者となる事を決める。
〇続けてトリスタニア・アーテル、晴嵐高校勢を襲撃。
空たちはトリスタニアを撃退するも、黒染美丹が交戦中に死亡。遺物『美丹の鎖』となる。
〇アルバート・パイソン、フリッツ・メフィストと交戦。
アルバート死亡。遺物『アルバートの左手』となるが、フリオに回収される。
〇御統鴉、レビ・マクスウェルと交戦。
戦闘中に鴉からマクスウェルに対し、『降魔』の存在が伝えられる。
その後、鴉死亡。遺物『博覧狂記』となるが、フリオに回収される。
〇フリッツ・メフィスト、月館日羽の特殊能力を看破。
傀儡化を試みるが、明日見秀がこれを察知・阻止。
そのまま戦闘に入り、秀が死亡。遺物『或る魔術師の遺物』となる。
〇この戦闘の際に魔粒子を浴びた月館日羽、眠り児となる。
現場に駆けつけた鷹野春道・幅浜寧々里と共に逃亡する。
〇レビ・マクスウェル、月館日羽を襲撃。
戦いに巻き込まれた鷹野春道と幅浜寧々里が死亡。遺物『ドレインナイフ』『小さな軍師の扇』となる。
この悲劇により、月館日羽が覚醒する。
〇宇和島空と白城真琴、レビ・マクスウェルと交戦。
白城真琴死亡、遺物『真琴の帯』となる。
全てを失った空は、この闘争の物語を自分の手で終わらせる事を決意。『消失の魔人』となる。
〇フリッツ・メフィスト、それまでに得た断片的な情報から、最初の魔人の遺物『夜の書』の在処に辿り着く。
自力で封印を破り、夜の書を入手。『隣神』と『降魔』の存在及び、世界の真実を知る。
それと同時に精神変貌が発生。私情を失い、自分なりの方法で世界を救う為に行動する。
フリッツの取った方法は、『一定以上の力を持つ魔術師を遺物化し、自身の身に取り込む』。
水準に満たない魔術師は当面生かし、強者による保護を排した上で鍛えるという道を選ぶ。
〇フリッツ・メフィスト、トリスタニア・アーテルと交戦。
アーテルは致命傷を負った後、アルブスに肉体の操作権を奪われ、逃亡。日羽の元に向かう。
〇トリスタニア・アルブス、最後の力を振り絞り、月館日羽に接触する。
自分と日羽に関する全ての真実を語った後、死亡。
遺物『ソウルオブトリスタニア』は、日羽に託される。
〇フリッツ・メフィスト、本国に一時帰還。
不死能力を持つ黒の総帥の魔法を封じた上で、総帥及びその血族を全員殺害。
シュバルツイェーガーの最高指導者となり、『黒の狩人』を名乗る。
〇主要魔術師がほぼ全滅した事を受け、3トライブが抗争終結に関して議論。
その結果、新宿を一日だけ閉鎖し、そこを最後の決戦場とする事が決定された。
これは極めて非経済的な決定だが、フリッツによる
「この闘争を、抗争で命を落とした全ての魔術師への献花とする」
という意見と、それに乗ったマクスウェルによって強行される。
〇フリオ・バンディーニ、急遽渡仏。抗争終結後の事を、白の上層部と直談判。
いくつかの約束を取りまとめた後、日本に向かう。
〇決戦前夜、宇和島空は月館日羽と電話連絡。
「明日は新宿に来るな」と伝えるが、日羽は答えない。
空は日羽の意志に気づきつつ、止む無く電話を切る。
〇翌日未明、フリッツ・メフィスト帰国。
シュバルツイェーガー日本支部に所属する生存者全員を、新宿から避難させる。
同じくレビ・マクスウェル、ウィザーズインク日本支部の生存者全員を、新宿から避難させる。
そうして無人の街と化した新宿で、最後の決戦が始まる。
〇早朝から新宿各地にて、散発的に戦闘発生。
いずれも勝負つかずとなるが、所有遺物の奪い合いは起こる。
それにより決戦参加者たちのパワーバランスが変わり、戦闘もより激化していく。
〇常軌を逸した魔力の応酬の結果、時空に予期せぬ歪みが発生。
それにより、本来決して繋がらないはずの二つの平行世界が、隣世を介して繋がる。
その要因となったのは、かつて赤の魔術師ナルヴィ・デザイアが身命を懸けて行った、『隣世の構造の破壊』。
約一年の時を経て、物語の先へ続く扉が、ついに開かれる。
〇別の世界のアルバート・パイソン、隣世調査中にこの世界=『獣の世界』に辿り着く。
そこでフリッツとマクスウェルの戦闘を見た後、宇和島空の襲撃を受ける。
アルバートは自分の世界に帰還。各魔術師にその事を伝える。
〇別の世界の魔術師たち、獣の世界に向かう。
そこで出会った5人の魔術師と、互いの信念をぶつけ合う。
結果として、獣の世界の魔術師たちの心境が変化。これ以上の悲劇を食い止める事に成功する。
〇二つの世界の魔術師たち、再会の約束をして、別れる。
ほどなく『赤い窓』は閉じ、二つの世界は隔てられる。
〇獣の世界の魔術師たち、抗争終結後の事について話し合う。
宇和島空はマクスウェルを許していなかったが、彼の真の目的が『抗争で死んだ魔術師全ての蘇生』である事を
知ったため、必ずそれを成し遂げることを条件に休戦する。
〇レビ・マクスウェル、平行世界の魔術師たちを待つ傍ら、自力でも魔力を高める研究を行う事を決意。
また平行世界への扉を再び開く為の研究を、並行して開始する。
〇フリッツ・メフィストは、『夜の書』の魔力と意志が消えていない事実を鑑み、
自分の世界ではまだ『隣神』もしくはそれに当たる存在が生きている事を確信。
黒の総帥兼世界の守護者として、いつか訪れるはずの隣神との決戦の日まで、
この世界を守り続ける事を約束する。
〇フリオ・バンディーニ、調停者の代表となり、魔術師世界の秩序再構築を提言。
その一環として宇和島空に対し、異端教会に入り『十四代目白の魔人』になる事を薦める。
空も祈への恩義からこれを受け、崩壊した異端教会の復興を開始。
これを以て多数の犠牲を出した4トライブ全面抗争は、正式に終結する。
〇新体制を迎えた魔術師世界で、月館日羽もまた自分の道を決める。
彼女はウィズクラスの店員となり、そこから次世代の魔術師が育つ事を願う。
また亡き姉から受け継いだ『遍在の眼』により、変わりゆくこの世界を見つめ続ける。
〇そして、いつかまた――
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