①失われたログ
「海底にこんな空間があるとは思いもよらなかった。しかしよどみがヤバいな。放っておけば隣神くらいの化け物まで生まれそうな……。ラプラスを頼るか」
「(……思ったよりも澱みの蓄積が速い。速すぎる。なぜ、此処まで早くなった?)」
「そりゃあ生者がいるからでしょうなあ」
「……誰だ」
「いや、通りすがりの悪魔ですけど」
「(何だコイツ、穢れが多すぎる)貴様の仕業か」
「いやボクは悪くないし。しいて言うなら君の所為?」
「……なるほど。そういうことか」
「理解が速くて何よりだよ。さて、不法侵入者君、覚悟はいいかい?」
「チミは誰だ」
「ボクはレヴィアタン。気軽にレヴィと呼んでくれ」
「レヴィ、ここで何をしてる?」
「何をするも何もここはボクの領域だし」
「……ここまで放っておいたのか」
「何?チミは聖人君子か何かかい?死んでまでそうやって他人を救いたいと?」
「ボクは聖人君子ではない。死者にかける情熱はもうほとんど無い」
「ならばなぜ?」
「放っておいたら今生きているものもダメージを受けるからだ」
「いやそれ十分聖人じゃないの?」
「……契約をしよう悪魔」
「え、どうしたの急に?いいけどさ。悪魔は契約が大好物さ」
「と、その前に」
「見られてるのって落ち着かないんだよね、ボク」
それから念のためこちらもペタリ
何故あそこまで最初フィリアはボロだったのか
→ハイドロにやられた
ザクロは何者なのか
→会の新人+お助け要員+獣のトライブからのスパイ
誰が回復させたのか
→レヴィアタン
この空間はなんなのか
→乙姫の遺物(偽)が作り出した竜宮城にたまった船たちの墓場。もともと海流がヤバい。見かねたレイズが悪魔と契約してどうにかしようとした(後述)
船の中には何が有ったか
→空っぽ。外側だけを保つ死にかけの船。航海日誌が有った。
もともとの無人探査機の中にどんな映像が有ったか
→レイズと悪魔の会話ログ
サンゴの遺物は
→領域を作り出す乙姫の固有魔法。乙姫がどこかへ行こうとした。この空間を維持するために止めようとして誤って殺害。一時的だが急速に領域が消え全員水圧でやられた。そこにたまった澱みが隣神もどきを生み出しかねなかったのでレイズが奔走。結果としてこれ。
亡者の手の正体
→ゲッタリスの手
悪魔の正体
→そりゃあ悪魔以外の何物でもない
救済とは
→汚染度の事。PC,NPCに食わせることで浄化。
⑤悪魔と悪魔
「で、結果として魂の回収に失敗したと」
「そうなんだよね。まあ身は取れたしいかな。まさかあの量で元の8分の1とは」
「ふーん。まあどうでもいいけど」
「反応薄くね?」
「だって面倒くさいし」
「出たよその面倒くさがり。……結果としてこっちはチミの後始末をしてるんだけどね」
「君があそこに住み着いただけでしょうに。私には関係ない」
「さいですか」
④再調査
9月●日改めて調査に入る
崩壊した城跡や大量の沈没船を発見。
その他の痕跡は見られずこの領域は完全に沈黙した模様。
ただ城跡から気になるサンプルを数点入手。解析にかけることにする。
③在りし日のオトヒメ
「彼は?」
「箱を開けたようです」
「老衰で死んだ?」
「いえ、まだ生きているようですが」
「そう。下がっていいわよ」
「はっ」
「……出てきていいわよ」
「気付いていたか」
「おおよそね」
「それで、どうする?」
「決まっているわ。消し飛ばすのよ。あれが生きている以上ばれたも当然だもの」
「彼を消したほうが早くないか?」
「もう手遅れよ」
「……だからと言って個々の全員を巻き添えにするのは」
「いえ、みんなあなたのおかげで充分に生きたもの。……それ以前に我らの力は見つかってはならぬもの」
「分かっている。だが」
「私は姫、城主よ。責任くらいは取らないと」
「……」
「さあお行きなさい、怠惰なるものの化身。あなたと過ごしたこの1000年、悪いものではなかったわ」
「……さよならだ」
「ええ、さようならです」
②航海日誌
天候はあの日と違い忌々しいほどに晴れ。
既に舵が壊れて数日たつ。また、壊血病で倒れるものが日に日に増えている。
旗艦はすでにジパングへ着いたのだろうか。
天候は曇り。
生き残った船員の争いが絶えない。こんな状況では仕方がないのかもしれん。
泳いで陸地を探そうとした奴らの方がある意味幸せだったのかもしれない。
天候は晴れ。
すでに普通の食糧さえ尽きた。天は我らを見放したのか。
船員同士の殺し合いも目立つ。動かない方が長く生きられるのにな。
天候は小雨。
最近妙に不思議なことが起こる。偶然の要素が多いというのだろうか。
偶然にも隙間から食料が見つかったり金が見つかったり雨が降ったり。
天はまだ見放してないのだろうか。ただものが勝手に動くのはなんだろうか。幽霊でもいるのだろうか。
天候は不明。
流されて妙なところまで流れ着いた。最初は嵐で死ぬかと思ったのに運がいい。
だがわれらはこの空間からは出られないようだ。水もある。食料もある。なのになぜここまで空しいのだろう。
天候は不明。
みなあれほど生を欲したというにみな自ら命を絶った。
私とこの船だけが長く残っている。
この船だけ残すのも悪いと思い燃やそうとしたが、結局できなかった。十年も一緒に過ごせば愛着もわく。
私だけ先に行くのが心苦しい。この船を看取るものが他にいないだろうか。