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黄昏編最終話『三つの色で悲劇を断ち切る』プロローグ

◆   その日、東京上空の『窓』は消えた。   大いなる敵は窓を閉じ、隣世へと隠れたのだ。   降魔を増やし、現世に攻め込むための戦力を増やすのが目的なのだろう。   このまま、手をこまねいて隣神の準備が整うを待つしかないのか。   だがそこで、七つの断章が空へと語りかけた。   「空よ、私の力を使う時が来たぞ……今こそ窓を開き、隣世に向かえ。   悲劇を終わらせ、世に平穏を取り戻すのじゃ」   「ああ……わかったぜ、リン」   空は断章の『境界操作』の力を使い、閉じた窓を再び開いた。   「いくぞ、皆。今度こそ悲劇を終わらせるんだ――!」   ◆   時を同じくして、アルバートが最後の戦いに挑む魔術師達に呼びかける。   「トリスタニアから預かっていた、『物語の欠片』だ。   これに触れれば、レオンの記憶に触れることで魔人魔女に匹敵する力を得ることができるだろう」   最後の決戦へと挑む魔術師たちへの、トリスタニアからの最後の土産だった。   ◆   かくして、最後の戦いの準備は整った。   アルバートも、存命の幹部も、各トライブの一般魔術師たちも。   ほぼ全ての戦力が、隣世へと向かう。   「目標は大いなる敵と融合した、三位一体の魔女トリスタニア様です」   「あの方は使命に殉じました。ならばその意志を継ぐのが、我らの務めです!」   「――全ての魔術師の力を合わせ、悲劇に終焉をッ!!」   祈と衛示の言葉に、白の魔術師達が鬨の声を上げる。   「ヘル・ナハトが命に代えても果たしたかった事……それを叶えるのが私の役目だ」   「ニナ様の役目は、我らの役目! 行く手を阻む降魔を排し、必ずや隣神のもとへ!」   ニナの言葉に、心を一つに団結する黒の魔術師達。   猟犬たちは最後の狩りを前に爪と牙を研ぎ澄ませる。   「あたし達は後方支援に回るわ。現世と隣世間でいろいろやり取りできるシステム組んだから」   「現世からの物資転送、通信、索敵その他、ウィザーズ・インクにお任せを。隣世の旅路を、より確実なものへと致しましょう」   ラプラスを中心に、赤の一般魔術師達は通信、物資転送のシステムとネットワークを構築。   主力が確実に隣神の元へと迎えるよう、万全の支援体制を整える。   かくして、魔人魔女とトライブの一般魔術師たちはそれぞれに役目を持って隣世へと向かう。   ◆   一方――。   「オレらは皆が帰る場所を護りながら、ここで待ってるよ」   ウィズクラスの面々は、隣世の戦いには赴かずに現世の護りに従事する。   大いなる敵との戦いに乗じて、現世に攻め込む降魔も居ることだろう。   隣世に赴く魔術師達の帰る場所を、誰かが護る必要がある。   そのために、彼らは残るつもりだった。   春道たちと激励をかわし、魔術師達は最後の戦場へと出発する――。  


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